難しい住宅ローン案件を通した事例紹介4 #店長流

■年収が少ないとローンを借りることが出来ない?

今回で第4回目になった難しいローン・・・事例ですが、今回で一応の区切りとしたいと思っています。

と言うことで、とりあえず最後の事例として・・・

『収入が少ない人にローンを組んでもらった案件』

をご紹介していきます。

■年収が200万円代の方の家造り

今回の方は、年収が200万円代だっ方の家造りです。

お名前はAさんとしておきます。

Aさんもいつものように、色々なメーカーに行ってみますが、どこの会社にも相手をしてもらえませんでした。

理由はその年収の額。

その額が約250万円となっており、その情報をハウスメーカーのアンケートに素直に書くと、営業さんすらついてくれず、案内のお姉さんが簡単に案内してお終い。

そんな対応をされていたそうです。

となったので、この情報を隠してみたことがあるようですが、結局はいつかは言うので、言った途端『諦めた方がいいですよ』って言われる状況だったそうです。

ある意味営業さんの優しさかもしれませんが、ちょっと寂しいですよね^^;

と言うことで、いつも通りそんな状況のAさんのしっかりとした情報を教えてもらいました。

■年収が低いのは転職したばかりだから。

まずAさんの年齢は30代半ば。

この年齢からすると、年収は明らかに少ない状況です。

理由を聞くと、まだ転職したばかりで、尚且つ成功報酬がある営業さんとのことで、少ないんだとか。

確かに成功報酬がある営業さんは、基本給が低くされる傾向にあるので、Aさんもまさしくその状態であったと言うことです。

なら、年収が上がるまで待てばいいと言う結論に至りそうですが、そうもいかない事情があったのです。

■借地に建てた家の借地権が切れている

Aさんがすぐにでも家を建てなければいけない理由は、今の住んでいる家の立ち退きを求められているから。

Aさんの親の持ち家なのですが、そこの土地が他人の物で、そこを借りて家を建てていた状態でした。

いわゆる借地と言うやつで、一定の期間を過ぎたら、土地を返すことを前提にしている契約です。

その契約が実はもう過ぎてしまっていて、Aさん家族は土地の返還と、家の建て壊しを求められている状況だったのです。

本当はもっと早くに立ち退きをしなくてはいけなかったのですが、お金がなかったことや親が病気になってしまったことなどが重なり、立ち退きが上手くできず、地主さんの温情で1年間だけ、延長してもらえている状況。

アパートを借りることも考えたのですが、両親と夫婦、お子さん2人の6人家族だったので、そんな簡単にも見つからず、また見つかったとしてもかなりの高額に・・・

他にも子供の学区を変えたくないとか色々な理由で、近所にある空き地に家を建てたいと言った状況。

さらには、その空き地も売主さんに他に売るのを待ってもらっている状況で、のんびりしていたら、他の人に売られてしまう・・・・

そんな色々な状況が重なり、何とかすぐに家を建てなくてはいけない状況だったのです。

■でもお金がないと家は建てられない

とは言っても、必要な物は先立つものです。

それがAさんには圧倒的に足りていません。

そもそも勤めてから半年もたっていない程度なので、多くの銀行はその時点でNGになります。

多くの銀行は勤めて1年以上ないと、そもそも検討すらしてくれないところが多いですが、私は1年無くても大丈夫な銀行を知っていたので、それは何とかなります。

しかし、年収250万円でもローンを借りるには問題が無いのですが、この年収だと条件が良くても上限が2000万円くらいの借り入れしかできません。

ただ、この条件でも『良くても』なので、実際にはその半分の1000万円程度と言われることも多いです。

また、そもそもの金融機関の決まりとして、年収300万円以上無いと住宅ローンは借りられないと言ったところも多く、2000万円を借りることも難しい状態です。

ただし、この額なら中古住宅や建売住宅の安い物件なら、建てることが出来るかもしれません。

しかし、残念なことにAさんの住んでいる地域には中古物件も、建売物件もありません。

エリアを変えればあるのですが、それだと学区を変えたくないと言った問題の解決にはなりません。

何を贅沢言っているんだ・・・・なんて声も聞こえてきそうですが、どうせ私の元でやらせて頂くなら、全ての条件をかなえてあげたいです^^

そして全ての条件をかなえるには、借り入れ金額のUPしかありません。

と言うことで、時間がない中、借入金額を上げる作業をすることになりました。

目標は3500万円です!!!

■収入合算は出来ないのか?

まず最初に考えたのが収入合算。

収入合算では奥様の収入の半分、そして旦那様の収入の半分までを、世帯の収入としてローンの計算に組み込むことが出来ます。

この場合は、250万円の半分の125万円を最大足すことができ、この時点で一気に3500万円程度まで借り入れが増やせます!

しかし、奥様は現在育休中で収入は0円、一応復職後の給料の見込みでも対応してくれる金融機関もあるのですが、育休前もパート職員で年収は100万円ていどとのことで、合算やペアローンの筋は無くなります。

では、同居しているお父様お母さまは・・・・と言うと、先ほど言った病気になってしまったのがお父様、そしてお母様は看病のために週2日程しか働けない状態。

お父様も休業等なら何とかなったかもしれませんが、闘病のために退職をしてしまっているので、収入は0です。

と言うことで、この筋も消えました。

と言うか、この時点である意味『詰み』です。

もう何もすることが出来ません。

幸いなことに、Aさんも、お父さんも現金を多く持たれていたので、生活が出来ない状況ではないと言うことだけは幸いでした。

しかし、逆を言うとその現金も生活で使いたいから、住宅にはある程度しか使えないと言った制限付き。

その制限はなんとか頑張って500万円程度でした。

しばらくすれば、Aさんの収入も上がるし、お父さんも働きに出ることは出来るくらいにはなるようでしたので、今使い込まなければ大丈夫と言ったことも幸いだったかと思います。

まあ、何とかここで500万円は確保出来たので、残りは3000万円です。

■収入が無いなら作ればいい!

さて、ここで考えたことが収入が無いなら作ればいい!です。

と言うことで、奥様やお父さんお母さんに働きに出てもらって・・・・

なんてことはしませんし、今から行ってもらっても年収にはならないので、間に合いません。

でも、年収を作る方法ってまだあるんです。

皆さんは、その方法って分かりますか?

■児童手当って年収として認められるケースがある

実は児童手当って年収として計算してくれる銀行もあるんです^^

Aさん家族はその当時児童手当として、国と市の合計で毎月3万円をもらえていました。

年間にすれば36万円です。

この額が年収として計算されたら、Aさんの年収は250万円から283万円にすることが出来ます。

実はこのケース、他のお客さんで行ったことがあって、実際に年収として認めてくれた銀行を知っていたのです^^

なので、Aさんも問題なければ年収のUPに使えます。

この時点で年収は283万円、計算上は約2700万円借りられる計算です。

■当時は意外にいけたんです

次の収入アップの為に行ったことで、年収は一気に48万円増えました!

先ほどの283万と足すとなんと331万円です!大台の300万円を簡単に越すことができました!!!

これで何とか借入可能額は3000万円を越します。

自己資金500万円を足すと、なんとか3500万円の大台に届きました^^

これでやっと家を建てることが出来ます!!!

となった原因は、実は『太陽光発電』です。

もう10年くらい前の話になりますが、当時の太陽光発電は固定買取の単価が今の3倍くらい高く、売れば売るほど儲かるみたいな状態でした。

ちなみにAさんにも勧める予定だった、太陽光発電の容量から計算される当時での売電額は平均で毎月5万円程度^^

今の時代からするとすさまじい数字ですが、当時はそれが当たり前だったのです。

そしてもっと凄いのは、その売電額を収入として認めてくれて、年収UPに使うことが出来る銀行が何社かあったのです。

今はそんなに売電額も無いので、参考程度にはしてくれますが、年収のUPには使われることは少なくなりました。

とは言っても売電の平均額の大体8掛け程度しかみてくれないので、今回の場合は毎月4万円の収入として計算をしています。

さて、これだけ条件を揃えたので、いざ審査!です。

■結果は不合格

さて、最初に結果を言っておきますが、結果は不合格でした^^;

正確に言うと、貸してはくれるけれど、年収として認められるのは283万円までで、最大に貸せて2600万円までといった結果でした・・・・

これでは、予定より400万円も足りません。

家を建てることは可能かもしれませんが、6人家族が十分に住める家とは言い難い家になってしまいます。

今回、私が想定していた年収にならなかった理由は、児童手当も売電も加算に入れてはいるが、あくまでも補助的なもので2つも入れて計算することは出来ない。

また、こういった場合は、低い方を採用させてもらうので、児童手当の加算分が限界だと言うことでした。

私の皮算用が過ぎてしまった結果になりましたが、まあ銀行からしてみたら、不安定な収入をそんなに認めるわけにはいかないでしょうから、正当な判断だったと思います。

さて、こうなってしまった以上、これ以上私から年収を上がることが出来なくなってしまいました・・・・

■年収は仮のものであったことを是正した

さて、どうしたものかと考え、Aさんの資料を見ていた時、ふとあることに気が付きます。

『Aさんの年収って、まだただの絵に描いた見込み年収じゃない?』

先ほど言ったようにAさんはまだ転職して半年程度で、まともな年収が分かっていません。

だから成果給もなく、ボーナスももらっていない状況でした。

ならどうして年収が250万となったのかと言うと、毎月の給料は固定だったので、その固定額を×12してそれを年収としていたのです。

そしてAさんとしたある会話を思い出します。

Aさんは・・・・

『今の給料はこんなものだけど、しっかりと売れたら年収で800万とかいくんだけどね。まあそこまで売れなくても、ボーナスとかで年収400万円程度はいくんだけどね〜。今はこんなんだけどさ』

的なことを言っていたのを思い出したのです。

と言うことは成果給は無いにしても、予定のボーナスを含めたらもっと給料って上がるんじゃ?

そう思い、Aさんに会社から『給料支払い見込み証明書』を出しもらえるかを聞いてみてってお願いしたんです。

その結果、Aさんの年収はなんと336万円にまで膨れ上がりました^^

■給料支払い見込み証明書ってなに?

先ほどでた 『給料見込み証明書』ですが、この書類って知らない人多いですよね?

この書類は、会社があなたに将来いくらの給料を払う予定なのかを、公的に証明する書類となります。

簡単に言うと、『今年はいくらあなたに給料を払うからねって』会社が証明してくれる書類になります。

この書類ですが、公的に認められている書類になるので、その人の収入の証明として使うことが出来るのです。

普段使い慣れていないのは、この書類を発行するのは会社にとって義務ではないから。

一般的には、源泉徴収票などで対応するので、ほとんど見たことが無い人が多いはずです。

しかし、会社的にはそれで良くても、社会的にはそれでは困ってしまう場合が多々あります。

例えば、今回のAさんのような人だと、半年の収入が年収となってしまうので、年収はかなり低い数字になってしまい、実際の年収とかけ離れた数字になってしまいます。

そんな状況でもし年収が100万円以下の方が対象になる補助金とかがあると、なんとAさんもその補助金をもらえることになってしまいます。

救済的な補助金を、たまたま転職した時期にが重なったAさんがもらえることは行政としてはおかしなことです。

なので、そういった際には会社から年収の見込みを証明する書類を作らせ、それを持って年収とします。

するとAさんは300万円以上あると証明されたので、この補助金は貰うことができません^^;

その他にも、年収制限がある補助金や、保険、奨学金などをもらう時にも使用されたりします。

今回はAさんの年収を証明するのに、この書類を使ってみたのです^^

■結果は合格!

さて、この書類を持って銀行に再審査を依頼したところ、結果は合格^^

希望額の3000万円を超えて、3100万円の借入が可能であるとなりました。

先ほど言った、児童手当も太陽光売電もなしでの結果です。

Aさんの会社は、成果給の他にボーナスが年に4か月分の給料と同額がでるとのことで、それを予定の収入として記載してくれたので、一気に年収があがったことが原因です。

また、誰でも知っている大手企業だったので、信用度が高かったことも有利に働いたと思います。

また、年収が200万円代から300万円代にあがったことで、返済比率も緩和され、より高額なローンを組むことに成功しています。

この結果をもって、Aさんは土地の取得、住宅の建築と進み、地主さんとの約束の日までには解体も終わり、無事に新築で家族皆で過ごせています^^

ちなみに一昨年くらいにAさんに会った時に、こんなことあったよねーって話になり、ちなみに今年収いくらくらいです?って聞いてみたら、にや〜っとして・・・・

『OOOO万円!』

と言われたのには驚きました。

もう別の次元の人になっちゃんたんだなーって・・・・(笑)

もう本当にあの時の話は、笑い話となっていましたよ^^

■なぜ私はこんな面倒な案件ばかりしているのか?

さて、ここからはまとめです。

今回の4回の記事達を読んで、多くの方がこんな風に思ったのではないでしょうか?

『住宅営業ってこんなに大変なこと何度もしているの?』って・・・

多分ですが、私の知っている限りこういったことをやっている営業さんってほとんどいません(笑)

だって、こんな頑張って契約をもらっても一件。

一般的なお客様だとローンなんて、銀行に任さればノータッチでOK、それでも一件。

だとしたら、普通の営業さんなら、後者を選ぶはずです。

私も店長と言う立場なので、部下には後者を選べと言います。

営業マンは、会社にどれだけお金を持ってこれるかで価値が決まります。

だから、絶対の後者の方がいいんです。

では、なぜ私はそういったことを数多くやってきたのか?

それは私が売れない営業だったからです^^;

売れない営業は、他の人が営業してない人なんかを頑張って営業するくらいでしか、契約が取れないのです・・・・

他はどうか知りませんが、少なくても私はそういった営業でした。

なので、こういった難しい案件を頑張ってやるしかなかったのです。

ただ、その結果私は売れる営業さんになることが出来ました^^

理由は、他の営業と比べ、圧倒的に経験値が増えたからです。

とは言ってもここまで来るのに10年以上掛かっています。

逆を言えば、10年ものあいだ、他の人が目を向けもしない仕事をやり続けてきたので、勝手に経験値が上がっていたのです。

お陰で今は、店長、そして課長です。

当時の私を知っている人からみたら、信じられないでしょうね(笑)

でも個人的にはまだまだなので、もっともっと精進していきたいと思っています。

なので、これからもどんどん難しい案件を私に下さい^^

頑張って解決してみせますので、よろしくお願いします。

今回はここまで!

では、また!