公式を覚えるよりも重要なことを『意味』を覚えて欲しい   #店長流

■これは全てのことに当てはまります

昨日、親戚の子が受験に受かったと連絡がありました。
この子は、高校1年の時から、個人的に家庭教師みたいなことをしていた子なので、とても嬉しく思います。

ただ、この子の実力なら難関な公立校も目指せたはずですが、何でも受かった大学に好きな教授がいて、その人のラボに入りたいからと言う理由でその大学一本のみの受験だったみたいです。

私が受験の時はそんなことを考えずにただ受かったところに行ったので、今の子は凄いんだなーって感心しました^^

さて、その子との思い出で今でも記憶に残っていることがあります。
そして、このことは皆さんにも知っておいて欲しいとても重要なことなので、思いだした今日に記事にしようと思います。

読んでもらって後悔はないと思いますので、ぜひこの後も読んでみてください。

■三角関数について・・・意味が分からない・・・・

確か去年のことだったと思います。
親戚の子の家庭教師をしていた時です。

その日は定期テストの結果がでて、おさらいをしたいからと言うことで呼ばれていきました。
そしてその結果を見て、ちょっとびっくりしてしまいました。

その子は、普段50点満点なら大体40点以上、悪くても35点は取ってくるのですが、その時の数学がなんと20点くらい・・・
どうしたの?体調でも悪かったの?って聞いて帰ってきた答えがこちら。

『三角関数の意味が分からない』

その時のテスト範囲の多くが三角関数が占めており、その問題のほとんどが回答できていませんでした。
ちなみに三角関数って覚えていますか?

sinΘ  cosΘ  tanΘとか言うやつです^^;

三角比の相互関係とか、余弦定理、正弦定理とかで使うやつです。

この子はそれが分からずで、テストの点が取れていませんでした。

皆さんもこの辺りは苦手な方が多いのではないでしょうか?
中学高校と数学が得意だって子も、ここでつまづく子が多い箇所だと言われています。

理由は簡単で、覚える公式がありすぎるのです^^;

ちなみにそれっぽい画像があったので、添付しておきます。

この他にも正弦の加法定理とかもあり覚えなきゃいけない公式だけで、20以上あります。

親戚の子は、それらを覚えるのが出来なくてほとんど点数が取れていなかったのです^^;

■でも、覚えるのってそんなに難しくはないはず?

しかし、ここで個人的に疑問が沸きました。
この子は、暗記などが不得意な分野ではなく、むしろ得意な分野だったはず。
なのに、覚えられない?

確かに簡単ではないけれど、言うほど難しい暗記ではない。
なので、それには何か別な理由がありそうだったので、こう聞いてみたのです。

『暗記をするのが嫌だった理由ってある?』

そう私は、この子があえて暗記をしなかったのだと定めそう聞いてみたのです。
その子の回答は・・・

『だって、これを覚える理由が分からない。ただテストの点を取る為だけに覚えても意味が無いし・・・
数学の先生にも、これ覚える意味ってあるんですか?って聞いたけれど、意味なんか考えるよりまずは覚えろとしか言ってくれないし・・・・』

そうこの子は、公式をただ覚えるのが嫌で、この公式がどんな役割を持つかを知りたかったんです。
そして、それについて誰も教えてくれないので、だったら覚える意味もないかと思っており、受験では数学は不要な大学に行くつもりなので、覚えないって選択をしたようなのです。

『おじさんもこれって要らないって思うでしょ?こんなの覚えても誰も使わないし・・・
数学の教授になるつもりもないしね・・・』

そんなことまで言われた記憶があります。

まとめると、この子は覚える価値が無いから覚えなかったと言うことになります。

■三角関数がなければ、伊能忠敬は地図を掛けなかった

そういった話になったので、私はある話をします。
その子は歴史や民族学などに興味があったので、こんな話をします。

『君が好きで尊敬している伊能忠敬。自分のと簡単な機械だけで、世界に誇れる日本地図を描いたよね?
あの地図を書くのに、絶対必要なのが三角関数なんだよ。

伊能忠敬は自分の足と、簡単な測量機械で、距離と角度を出して、それをメモしまくって日本中を歩き回った。
そしてその夜には、その距離と角度から計算をして、地図を仕上げていく。

その時に使われていたのが三角関数。
それを使って計算することで、距離や角度から、1度単位で方位も分かり、更には山の標高も図ることが出来る。

ちなみに当時の富士山を忠敬が測量したところ、約3900mといった結果が出ており、その誤差は200mもあるかもしれないけれど、当時は全て目測だったことを考えると脅威的な数字だよね?

こういったことをするには、絶対に三角関数が必要になる。
確かに今では全て機械で出せるけれど、その機械の中で浸使われている公式が、今やっている公式がそのまま入っているんだよ』

この子が昔、日本が世界に誇れる偉人として、徳川家康、鈴木梅太郎に続き伊藤忠敬を上げていたのを思い出して、こんなことを言ってみたのです。

そしたら、その子の目が一気に輝きだして、『え?どういうこと!もっと教えて教えて!』となり、そのことについて1時間以上話しをしました。

話を仕切ったあと、その子の表情が少し鈍り、そしてこんなことを言ってくれました。

『おれ、こんな大事なことを意味ないとか言っていた。すごい恥ずかしい。三角関数だって日本が発祥じゃないかもしれないが、日本が世界に誇れることの一つだったじゃん・・・
おれもう一回勉強するわ・・・・

でもさ、おじさん。
こんな重要なことなんで誰も教えてくれないんだろう?

覚えろ覚えろばっかりで、それが何のためになるか分からなかったら、覚えたくならないじゃんね?
先生たちは、覚えて欲しくないんだろうか?』

■その『意味』を理解することの重要性

こうやってこの子は、今の教育の問題、そして勉強をする『意味』に自分で気が付くことが出来ました。

昔に比べたら緩やかになったと言われますが、未だに学校教育は知識の詰め込みです。
それの勉強内容はとても価値があることなんですが、それを学ぶ『意味』を先に教えないと価値を感じることが出来ないどころか、無意味なものとまで思ってしまうんです。

しかも、今の子はこういったテストを行っても、順位はでません。
昔みたいにテストの順位が高くて誇れることも、逆に順位が低くて奮起することも出来ないのです。

でも、この子はそれに気づけたので、自分が価値があると思える勉強をすることが出来るようになりました。

私は家庭教師などの経験で、こうなった子の強さは知っています。
今まではいやいややっていた勉強が、やりたくてやりたくてしょうがない物に。
そして、そのお陰でどんどん習得していき、こういった子のほどんどが、学年の枠を飛び越えて勉強を始めていきます。

その結果どういった子になったのかはご想像通りです^^

この子は自分の行きたい大学を、特待生としていくことになったのです。

■住宅も同じ

さて、このことは住宅建築でも同じだと言えます。
住宅を建てる際に、大事な指標として、耐震等級や断熱等級、さらには気密性や消費エネルギー等級など、色々なものがあります。

こういったものを理解して家を建てている人って、本当に少ないです。
ただ、等級が高い方が性能が良いと言われているので、だったら性能を良くしたいと建築する人ばかりです。
そういった人の多くが、その性能自体の意味を全く理解していません。

例えば耐震等級。

これはそもそもが建築をするための法律『建築基準法』では定められていないことを知っている人は少ないです。
ではどういった法律で定められているのか?
それは『品確法』と言った、法律で定められており、建築基準法を基準にはしていますが、まったく別の方法での計算や考え方を求めている方法です。
耐震等級は1〜3まであり、耐震等級1が最低、3が最高水準となっています。

これだけ聞くと、耐震等級3が最も良く、それにしなきゃ・・・なんて思う人も多いと思います。
実際に東日本の震災や熊本の震災などを目の当たりにしている世代なので、そういった恐怖からなるべく良い物をと言った気持ちでしょう。

しかし、こういったことを理解してくると少し違った考えが見えてきます。
まず日本の建築基準法ですが、海外に比べ、耐震についてはとても厳しいと言ったことを聞いたことがありませんか?
海外では強いと言って建てられている建物も、日本ではそもそも基準以下として建てられないって具合です。

それもそのはずで、日本では大地震が今後来る可能性が70%だの50%だのと言われています。
そういったことが分かっているのに、そういった対策をしていない建物を、そもそも国が建てさせるのか?ってっ話です。

実際に国はそのことを重く見ていて、耐震に対する基準としてこのように定めています。

『数百年に1度のくる地震(東京では震度6強から、震度7)によって、建物が倒壊、崩壊しない程度の強度を有する建物』

また、『数十年に1度来る地震(東京では震度5強程度)によって、建物が損傷しない程度の強度を有する建物』

この二つを最低限の建物として国が定めています。
それには、建物の強度の計算を行い、その基準値を求め、それ以上の数値であることで基準をクリアしているかどうか確かめます。

ちなみに日本の震災と言われる地震の多くの揺れが6強程度で、一部の地域のみ7になる程度です。
つまり、この日本の建築基準法で建てれば、基本的には安心した生活を送ることが出来ると思っても大丈夫なんです。
その例として、東日本の震災で震度7の揺れになった栗原市ですが、比較的新しい住宅の倒壊はほぼ0だったと言った実証もあります。

こういった話を聞くと、これでも十分かなって?思える人も多いと思います。
しかし、今言った話を聞かないと、耐震等級1の建物は最低評価なので、最低は嫌だ!って毛嫌いしてしまう人も多いでしょう。
これがしっかりと『意味』知る大事な部分なんです。

■じゃあ耐震等級3は意味が無いの?

では、そういったことならば、耐震等級3は意味がないことなのでしょうか?
答はNOです。

品確法で定める耐震等級は、先ほど言ったように建築基準法と別の計算方法や、検討の仕方をしています。

例えば、建築基準法では建物の強度は、あくまでも建物だけの強度として計算をします。
ちょっと意味が分からないかもしれませんが、このまま品格法の説明をするので聞いて下さい。

品確法では、建物だけではなく、建物に付随する基礎、そして屋根などの強度の計算も行います。
また、雪が降る地域だと雪が積もった時に地震が来たことを想定して、雪の重みで建物が揺れる計算もしていきます。

建築基準法では、あくまでも家の強度から地震に対する強度を出しますが、品確法はさらに踏み込んだシチュエーションなどを考慮して、考えられた計算方法を採用しています。
計算方法の一部は基準法と同じですが、それ以上の計算に基づき品質の管理をするための法律が品確法と言うことになります。

別に品確法の計算をしないといけないことはないので、あくまでもオプションとしている会社も多いですが、最近では多くの会社が採用しているケースが増えました。

ただ、この採用の理由が正直気に食わないので、一度皆さんにも伝えたいと思います。

■耐震等級3でないと建物が壊れるなんて嘘をつき恐怖感で商売をするな!

私が気に食わない採用理由がこちら。

『耐震等級3出ないと建物が壊れると言って恐怖感を植え付ければ、高い金を出してでも耐震等級3にするだろう』

そんな商売的な発想で、尚且つ人の心を弄んで金儲けをする方法です!!!

そんな会社あるわけないと思っているかもしれませんが、私の知っている会社の多くはこういった採用理由で耐震等級3を勧めています。
でも、そんなことHPにも書いてないし、営業さんもそんなこと言っていないはずですよ。
そんなこと言ったら、お客様は離れますからね!!!

ではなぜそんなことを言えるのか?

理由は簡単。
今ある会社が普通に家を建てれば、その家のほとんどが耐震等級3の強度に達しているからです。

建築基準法では耐震等級1があれば良いので、それ以上を作らないくても良いかもしれませんが、別にそれ以上を作っても問題はないのです。
そして、今ある住宅会社のほとんどが、普通に住宅を造れば、大体が耐震等級3の建物の強度を持っています。

これは大手になればなるほど顕著で、皆さんが知っているクラスのハウスメーカーならば、余程の例外を除けばほぼ100%と言えるくらい強い建物になっています。

これは、意図してそうしたわけではなく、これまでに続いていた(今の続いている)過酷な生き残り競争の結果だと言えます。
一昔前、10年程度前だとそこまでではありませんでした、耐震等級3であることは珍しくは無かったですが、誰もがやっている程のことではありませんでした。

しかし、住宅がどんどん売れなくなっていくにつれ、生存競争が始まり、相手が上げたらならうちも、相手が値下げしたならうちも、みたいな競争が加速していきます。
その結果建物の強度はいつの間にか最高水準になってしまい、それは言い事なのですが、差別がつかなくなってしまったのです。

そういった状態になったので、次に出た作戦が『耐震等級3以外は壊れる不安が残る家』作戦です。
自分達が過去、耐震等級3以外の建物を建てていたことを棚に上げて、今耐震等級3より下の建物を貶める作戦です。

■耐震等級1の建物の方が安価になる

これを上手にやることで、耐震等級3以外の建物に恐怖を植え付けることが出来ます。
しかし、この作戦の一番のネックは値段です。

何となく分かるでしょうが、耐震等級1の建物と3の建物では、耐震等級1の方が安価に建てることが出来ます。
なので、建物を安価に建てたいと思う人で、耐震は建築基準法レベルで大丈夫って人なら、耐震等級1で建てるのが一番です。

それじゃー震度7が来たら大変じゃん!って思うかもしれませんが、震度7の揺れを計測する地域は本当にごくわずかです。
熊本の地震は記憶にも新しい震度7を計測した地震ですが、短期間に2度の震度7を経験した数少ない地震として記憶に残っていると思います。

その影響であの地震ではどこもかしこも震度7だったと勘違いされるかもしれませんが、実際に震度7だったのは1村1町のみ。
しかも、その村や町でも揺れはまちまちで、震度7だと言われても体感だと5程度しか揺れていなかった家もあったとのこと。
多分、元々揺れずらい地盤だったりが影響したのでしょうが、これが実際の揺れの真実です。

確かに震度7で揺れる可能性はどこでもあるので、特に揺れやすいと言われている地域では気を付けるべきでしょうが、元々揺れずらいとか言われている地域、例えば山あいの地盤が強固なエリアなどは、対策は必須ですが、それほど神経質になる必要もなかったりします。

まあ、これは個人的な気持ちの問題なので、それでも対策したいって人はすればいいし、しなくても大丈夫って人は自己責任でやれば良いだけの事です。

ただ、その真実が広まってしまうと、安価な耐震等級1の建物が売れてしまい、高価な耐震等級3の建物は価値が薄れてしまいます。
だから、不安をあおるのです^^;

耐震等級1の建物を実験的に揺らし、そして倒壊させる。
その後に、耐震等級3の建物を実験的に揺らし、そして倒壊をさせない動画を見せる。

地震保険が耐震等級なしと等級3を比べると、年間に2万円近くもかわりますよ。
40年もすれば、80万円もお金が掛かることになるんです。

こうやって不安をあおり商売をし、必要のない人にまで高額なものを売りつける・・・・
そんな商売が私は大嫌いです!!!

あ、これってあくまでも個人的な意見なので、会社の意見とは異なりますのでご理解ください・・・

■それらも『意味』と『真実』が理解出来れば、回避が出来る・・・出来るんだけど・・・・

さて、話が脱線してしまいましたが、親戚の子のように、意味を理解し、そして真実を理解出来れば、自分に要らないもの必要な物が分かり、無駄な出費を回避することが出来ます。

ちなみに品確法にはまだまだ色々な種類があります。

耐震だけではなく、断熱、耐火、劣化、維持管理、省エネ、空気環境、光環境、音環境、高齢者への配慮、防犯への配慮とこれだけの多くのことにたいし、品質を一定数確保することが品確法の目的です。

そしてこれらの多くは、基準法でも定めらている品質があります。

本来はこれらの意味を理解し、それぞれの自分になったものを選択していくべきなのです。

なのですが・・・・

ここまでくると設計士さんを含めた専門家の分野になってしまいます^^;
そこまで勉強が出来れば最高なのですが、まあ難しいとは思います。

なので、自分が住んでいくのに大事にしたい物、必要な物だけはしっかりと理解し、その他は建築家に任せちゃうのが一番です。

■まとめ

今日も長文になってしまいました。
親戚の子の合格が嬉しくて、少しテンションの高い記事となっています。

今回は受験のことを書きましたが、住宅でもやはり同じです。
『耐震等級、断熱等級、気密性』・・・・
みたいな公式を覚えるのではなく、その意味を理解して、そして検討して欲しいと思います。

世の中正しい情報を簡単に手に入れることが出来るようになりましたが、未だにある意味悪意をもってそれを隠す人もいます。
そういった人達に捕まらないように気を付けていって頂ければと思います。

今回はここまで。
では、また!