お客様第一主義の悪いところがでた家づくりと私の家づくりのこと #店長流

■聞こえは良い『お客様第一主義』

先日の打ち合わせでのお話。

あるお客様とご商談の最中なのですが、現在もう一社の会社とお客様が比較検討されています。

それ自体はよくあることですし、私もそうしてもらうことで本当に納得した上でのご契約を頂きたいので、むしろ推奨をしているくらいです。

ただ、その比較対象の会社の内容が、他社の私が言うのも失礼でしょうが、正直お粗末で・・・

その会社の社是(会社が正しいと思う理念)が『お客様第一主義』

この言葉聞こえは良いので、よく使われる言葉ですが、実際に良いことなのかと言われると疑問が生まれます。

今回はそんなお客様第一主義の会社が陥りやすい問題をお話していこうと思います。

■お客様は素人である

まず、この大前提を忘れている会社が多いように思われます。

家づくりをしようとしている多くの方は、家づくりに関しては素人です。

自分が欲しいと思っている住宅を。自分で建てることは出来ません。

なので、ハウスメーカーや工務店などに建築を依頼に来るのです。

そういった人達がしっかりとした建築の意見を言えるのかと言えば、まず不可能です。

このような環境であることを、根本から忘れている会社が多いように思えます。

■素人の意見を叶えようとする

ですが、そういった素人の方でも、最近ではネットの普及のお陰で、具体的にこうしたいああしたいと言ったことが言えるようになりました。

中には、調べに調べ、もはやプロなのでは?と思うくらいの知識を身に着けている人も多くいます。

そういった状況なので、多くの会社がその意見をそのまま叶えようとします。

それはお客様からとってみたら嬉しいことでしょう。

だって自分の思ったような家が建つのですから。

しかし、それは本当に良い家なのでしょうか?

お客様は色々と勉強をされ、知識があるかもしれませんが、素人であることは変わりありません。

その道でお金をもらって生活をしている私達とは、勉強量も経験も知識も違いますし、一番違うのは責任感だと思います。

たまたまお客様が良いと言った物が、最上に良い物であったならそれで良いのでしょうが、それ以上のものもあるだろうし、経験上違うものの方が良いと言う結果もあるはずです。

そういったところまで検討して、結論を出しているのなら良いのですが、『お客様第一主義』の元、お客様の希望そのものを採用することが多いように思えます。

■間違ったお客様第一主義

ここからは話を戻して、先日に打ち合わせをしたお客様との会話になります。

お客様はもう一社の会社との打ち合わせでこんなことを言われたようです。

『当社はお客様第一主義をモットーに、お客様の希望を全て叶えます』

そう聞いた時お客様はこの会社だ!って思ったと言っていました。

それまでも色々な会社に行ったみたいですが、自分達の希望を言うと、それは出来ない、あれは出来ない、と言われ続け、自分達の希望は叶えられないのかと落ち込んでいたそうです。

それがそんなことを言ってくれるものだから、ここなら希望が叶うとして、喜んだそうです。

そして、その後の打ち合わせも自分達の言うことを聞いてくれ、自分達のやりたいような家づくりを進めてくれ、実際にご契約寸前まで話をしたと聞きました。

しかし、ある時にふと『あれ?この会社から提案を何も受けていないな?』って思ったそうで、確かにこちらからの言うことは聞いてくれていましたが、あちらからの提案は何もないことに気が付いたそうです。

そういったこともあり、一度その会社の提案を聞いてみたいと思い、担当者さんに言ってみたらしいのですが、その時の回答は・・・・

『当社はお客様第一主義の会社で、お客様の一番が一番だと認識しております。なので、こちらの提案も今お客様が一番だと思って頂いているこのプランです』

そんな風に言われたとのこと。

それは確かに間違ってはいないのですが、自分達素人が言ったこと全てが正しい訳がないと、少し不安になってしまい、勤め先の工場の工事などを担当している設計士さんにプランを見てもらったところ、ツッコミの嵐だったようです^^;

■そもそも耐震基準を満たしていないんじゃ?

そのツッコミの中で一番に『えっ!』っとなったのが、耐震について。

お客様は超がつくほどの大空間に憧れており、窓も大量にさらには大開口でどこかのハウスメーカーのショールームのような家になっていました。

それをみた設計士さんは、『木造住宅でこんな大開口を取れるとは聞いたことが無い。これってそもそも耐震基準を取れていないのでは?』

そう言われたお客様は、急いで会社さんに連絡したそうです。

その時の答えは『大丈夫です』

本当に大丈夫なのかと聞くと『通常の木造住宅では造れないが、木造ラーメン工法を用いることで可能になる、当社はそれが出来るので安心して欲しい』とのこと。

その際はそれで安心したとのことでしたが、ずっと気になっていたのが『通常の木造住宅では造れない』と言ったこと。

では、自分達の家は通常ではないのか?と言った疑問が出来、次の打ち合わせの際に聞いたそうです、うちって『普通の家じゃないの?』って・・・

■え?普通ではありませんよ???

その際に言われたのが『え?普通ではありませんよ???』と言った回答。

この答えに、パニックになってしまったお客様ご夫婦。

これまでの打ち合わせの中では、そんな会話が無かったし、全部出来ます、叶えましょうといった回答だったので、当たり前に出来るものだと思っていたのに、結果は普通ではないとのこと。

『でも安心してください、そういった普通ではない家も当社なら施工ができますので』

と言われたのですが、もう安心よりも不安が勝ってしまったとのことで、耐震もそうですが、断熱や気密性、メンテナンス性なども気になってしょうがなくなってしまいました。

耐震性や断熱性は、妥協したくないと伝えていたので、そうなっていると思っていたのですが、それもしっかりとしているのか不安になってしまい、それも問いただします。

『耐震性は多分、等級2はいけます。等級3は難しいかもしれませんが、等級2もあれば十分です。また断熱性は何とかZEH基準まではいきますが、それ以上はこのプランでは難しいです。』

そんな回答が来て、もうパニックも最高潮に。

奥様が『そんな家は頼んでいません!』ときつめに言ったのですが、『とは言っても、お客様の希望をまとめた結果がこれなんですから、しょうがないところもあります』

『法的にも問題はないし、何よりも希望が叶うんです。その方が良いのではありませんか?』

と言った回答だったので、その日の打ち合わせはそこまでで、その会社との契約はいったん中止に。

自分達にとって救世主みたいな会社だったのに、それからは不信感しかない、そんな会社になってしまったとのことです。

ただ、プランは気に入っていることや、他の会社では確かに出来ないと言われていたので、まだ諦めきれないとも言っていました。

■明工は提案をしてくるから好き

そんなこんなでまたハウスメーカーを探し始めたお客様が、色々あって当社を見つけて下さり、現在検討中になっております。

では、なぜそういった会社もあるのに、当社で検討してくれているのかと聞いてみたらこんな答えが。

『明工さんは提案をしてくれるから好き』

これまでの会社は、出来る出来ないの話か、決まったプランしか勧めてこない会社、先ほどの会社のように鵜呑みにしてくる、そんな会社ばかりだったみたいです。

しかし、私は提案をいつもしていきます。

お客様の意見はもちろん聞きますが、それを聞いた上で最適な物が何なのか、提案していきます。

その提案を受け、でもこうしたいとか、こうならないのとかの話をしていき、最終的にはお客様と一緒に最終提案をまとめていきます。

そうすることで、お客様の一方的なこうしたいだけじゃなく、プロの見方からみた最適な状態も加味が出来、お客様のしたいやりたいがどんどん深く、高くなっていくと思っているからです

お客様もそのことは感じてくれているみたいで、私と話をしていると知らないことがどんどん出てくるから楽しい、なんて言ってくれます^^

■出来上がった提案は大開口が一個もない!!!

その結果、当社の提案として出来上がった物は、なんと大開口の窓・・・・・一個もありません(笑)

あれだけ大開口にこだわっていたお客様はその提案を見たときに『え!』って顔をしましたが、その提案が終わった時にはニコニコ顔で帰ってくれていました。

私が大開口をやめたきっかけは、お客様との話の中にありました。

お客様の希望は要約すると、明るくて開放感があって、のびのびとして、暑い寒いがない快適な暮らしがしたいとのこと。

だから、解放感を求め大開口窓を用意し、住宅展示場のような広々としたLDKを求めていたのです。

しかし、その理想は他の形でも叶います。

まず、私は解放感を広くした吹き抜けで演出しました。

2次元空間のように、横に広げるのも良いのですが、人はそれ以上に3次元の縦と奥行きの方に広さを感じられます。

なので、勾配天井や天井高を通常より上げただけで、同じ広さの部屋でも広さを感じられるのです。

そうすることで、まずは広々としたLDKの確保に成功です。

次に解放感ですが、これは窓がないとやはり難しいです。

しかし、その為に大開口を用意するのも良いのですが、その弱点もカバーすることを同時に考えなくてはいけません。

もしあなたが壁一面窓のような家に暮らしたら、多くの方が年中まっくらなLDKで過ごすことになります。

だって、そんな家まるで動物園です^^;

外から丸見えなので、カーテンでもしておかないと、プライベートもなにもありません。

それをクリアーするには、小高い丘の上に建てるとか、窓から隣地までの距離を10m以上開けて、中が見えないようにするなどの必要があります。

でもそれって普通の家では出来ないし、お客様の土地でも不可能でした。

なので、大開口は一つも付けません。

では、どうしたら明るく解放感がある家になるのか?

その答えは『吹き抜けの窓を大きくする』です。

■人は明るいと広く感じる生き物

これは人の特性ですが、その場が明るいと、その場を広く感じる傾向があり、その逆に暗いと狭く感じる傾向にあります。

そして、家を明るくするには、上から明るくしてあげるのが最も明るく感じます。

なので、そういった意味で最も明るく出来るのは、屋根に付ける『天窓』です。

しかし、天窓は防水の心配があることや、大きさがあまり大きく出来ないこと、また明るすぎて、かえって暑くなってしまうといった弱点があります。

それ吹き抜けの窓は解決できます。

吹抜けの窓は耐震が許す限り、大きくして大丈夫ですし、壁に取り付けられるので、防水に関しては大きな問題はありません。

大きくなった分明るいし、広さも感じることが出来ます。

ただそうなると暑さが気になりますが、吹き抜けの窓に深い庇を設定することで、解決をします。

深い吹き抜けは、夏場の熱い日差しをシャットアウトしてくれて、大きな窓があっても熱を伝えづらくなります。

逆にその熱が欲しい冬場は、太陽の位置が下がるので、庇の下から、暖かい太陽の光を十分に取得することが出来ます。

■その結果、耐震性もUP、コストダウンも可能に^^

そういった提案の結果、大開口もないので、耐震は等級3は当り前、更には制振装置でより安心をUP。

さらに良い事は、先ほど出てきた木造ラーメン工法って実は結構お金が掛かる工法で、100万円以上の費用増も当たり前な工法になります。

まあそれもピンキリなので、今回にでた会社さんがどういった工法をやるかまでは分かりませんが、その分の費用は当社の提案ならまったくの0円です^^

このように本当にお客様の提案の意味を理解し、その中で最適な物を提案するだけで、こんなに変わることをお客様にはご理解を頂きました。

■でも、時間掛かるよね・・・・

じゃーもう当社でキマリじゃん!ってはなっていないのが現実です^^;

その理由が 『明工は時間が掛かる・・・・』

今までの会社や、それまでの会社は遅くても1週間、早ければ数日後に作ったものを持ってきてくれたそうです。

ですが、明工と言うか、私の提案は早くて1週間、お時間を頂くときは2週間程度は普通に頂きます。

そのスピードがお客様にとって、なんだかもどかしいみたいです・・・・

しかし、私は提案をつくって出すだけが仕事だと思っておらず、その提案が最大限になるように何度もブラッシュUPしてから提案をしています。

それがスピードダウンの元と揶揄されたこともありますが、私はそれがお客様が使う時間の短縮に繋がっていると思っています。

ようは、私の元で時間を使うのか、お客様の元で時間を使うのか。

そう考えたときに、私の元で時間を使うことがベストな考えだと私は辿り着きました。

お客様のほとんどは、普段は仕事をしたり、プライベートの用事なので、忙しく生きていると思います。

そこに住宅の検討までをお願いしたら、もう大変でしょう?

しかし、私は仕事で行っているので、その時間は皆さんの何倍も取ることができますし、これは手前味噌な話かもしれませんが、皆さんよりも経験も知識もあります。

そんな私の元で時間を使うことがベストだと言った判断です。

■最終的にはお客様が決めること

また、前社の提案も何度も重ねたので、捨てるのにも忍びないそうで、すごく迷っているとのことでした。

私としては、お客様が気に入った方で建てれば良いのだと思います。

だって、その家で暮らして人生を重ね、楽しいも辛いも重ねていくのはお客様本人なのですから^^

自分が決めた一番!ってところにぜひ決めて下さいね。

それが当社であったなら、これからも全力でサポートしていきます!!!!

今回はここまで。

では、また